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 六段豊島作水無瀬御蔵島黄楊杢盛上将棋駒(K836)


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 この駒には二つの謎がある。

 まず、作者の「六段豊島」とは誰か、という点。
 「豊島」とある以上、初代龍山、豊島太郎吉、二代目豊島数次郎のいずれかとなるが、「六段」とある点からは太郎吉ということになりそうである。けだし、太郎吉は関根金次郎より六段を免許され、数次郎は初段の免状を持つにすぎないからである。
 ところで、関根が名人に就位したのは大正10年。従って太郎吉が関根より六段を許されたのはそれ以降と推定される。仮に大正10年だとしても、その年、太郎吉は既に59才、数次郎17才。当時の社会背景を勘案すればおそらく数次郎の手、ということになろう・・か(熊澤良尊著「名駒大鑑」をご参照ください)。

 次に書体銘の「水無瀬」。
 豊島には「(単に)水無瀬」という書体はなく、「水無瀬中(大)納言水無瀬兼俊卿筆跡」というながい銘の書体があるのみ(通説)。この書体が後に初代影水、宮松関三郎にわたり、二代目幹太郎が「水無瀬」書体を完成させます(昭和20年代)。
 本作は数次郎存命中(昭和15年以前)の作品とすればこの「水無瀬」という書体銘をなんと解するか。

 興味の尽きない作品ではあります。



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