枯淡の味わい、巨匠木村文俊の作品です。
木村文俊(1908〜1984)については「駒のささやき」(駒研出版会編)に次のように紹介されています。
「実力制名人戦で初代の名人となり不世出の名人と謳われた木村義雄十四名人の実弟が、駒師木村文俊である。東京本所
の生まれ。豊島龍山に弟子入り後独立、その後墨田区押上に盤駒商を営み駒を作り続けた。(中略)生粋の江戸っ子で(中略
)最盛期には一世を風靡するほどの人気を博した。」
本作は箱書きから駒の入れ替わりがなければ昭和13年2月11日の第1期名人就位の際の記念品として木村義雄名人が
後援者に頒布した品ということになりますが・・・。
当時の慣習から木村名人が何らかの記念品を用意し、そしてそれが実弟の木村文俊作の駒、というのは自然でありおそらく
は事実と思われます(昭和11年の将棋大成会結成の際は豊島の駒が頒布されています)。従いまして箱書きは名人の真筆だ
と考えますが、さて駒が当時のものかどうか・・・。
記念として頒布する以上駒自体にもそれと判る何らかの記載があってしかるべきではないか・・・、と思います。事実将棋大成
会結成の際の記念に頒布された駒には王将の裏面にその旨の記載がありました。
私も調べましたがハッキリしたことは分かりませんでしたが・・・。私なりの現時点での結論として・・・、箱書きは木村名人の真
筆である可能性が大きい、そして収納されていた駒は「木村文俊作」であると推測されるが本作がそのものであるか否かにつ
いては私個人としては否定的(あくまで記念駒箱「付」の木村の駒)・・・・となりましょうか。
とまれ本作、昭和の昔に想いを遊ばせてくれる楽しい作品・・・、ではあります。
書体は「玉舟(ぎょくしゅう)」、寉園と並んで他の駒師にはその作品を見ない木村独自の書体です。
木地は御蔵島黄楊杢交、使われたものですのでスレ等の使用感はありますが経年の割に程度は良好です。全ての駒の表
裏を私のHPにUPいたしましたので是非ご覧ください。
余り歩は2枚です。
サイズ(縦*横*厚さ) 王将30.7*26.9*8.9 歩兵25.3*19.9*6.8
上記の駒箱(古い品です、補修の跡があります)に加え、木村オリジナルの駒袋、撮影に使用いたしました当社オリジナル・
粋な内蓋付桐製とのこ仕上平箱が付属いたします。
木村文俊作玉舟島黄楊杢交彫将棋駒/木村名人就位記念桐駒箱付
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