面白い作品です。マニアの方向け。
少なくとも「奥野」工房もしくは縁の者の作品に間違いないものと思います。
「錦龍」は奥野のオリジナルの書体で当時奥野の他に製作する駒師はおりませんでした。また「奥野」の銘(作者銘・書体銘)
はまず予め製作したハンコを捺しその上を漆でなぞるという方法をとっておりました(お馴染みの「奥野作」という作者銘もこうし
た技法で標されました)。従いまして銘を見れば奥野のオリジナルか否かがほぼわかります。本品の「錦龍」は奥野の駒銘を集
めた資料(ハンコを集めたもの)によれば当に奥野のもの(中公新書「将棋駒の世界」をご参照ください)。「奥野」か奥野工房の
作品、少なくとも当時「奥野」のハンコの使用を許された奥野縁りの者の作品であることは間違いないものと思われます(私自身
は奥野が外職人に字母紙を提供して製作させ最後に書体銘のハンコを押したのではないかと考えております)。タイトルに「奥
野縁係り」と謳わせていただきましたのはそうした事情によります。
ただ作者銘がありません。奥野商店で販売された品には作者名のない品も多数存在しましたが本品もそうした品のひとつで
はなかったか・・・、と思います。
とまれ、「奥野一香」の活躍した古き時代、大正・昭和初期にしばし心を遊ばせてくれる楽しい「駒」ではあります。むろん双玉。
木地は御蔵島黄楊、ほとんどの駒は柾目か追柾ですが歩の数枚に板目が混在しておりました。
使用されておりますのでスレ・漆のヘリ等の使用感はございますが経年の割には状態は良いと思います。
余り歩は1枚です。
サイズ(縦*横*厚さ) 王将30.5*25.7*8.6 歩兵24.5*19.4*5.9
撮影に使用いたしました当社オリジナル・粋な内蓋付とのこ仕上桐製平箱が附属いたします。
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